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日本企業のビックデータに対する取組み/『ビックデータの理解と監査』より


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CIAフォーラム研究会報告として2017年4月に『ビックデータの理解と監査』として公表されました。

当該レポートは、内部監査の視点からビックデータを解説したもので、ビックデータを企業経営にいかすために管理面からどのように取り組むべきかを示唆を与えています。

今回は、『ビックデータの理解と監査』で管理を行ううえでのアドバイスのうち、日本企業が一般的に弱いとされる部分を抽出してご紹介したいと思います。


「重要な資源と機能に横断に役割と責任を明確に定めることにより、ビックデータ・プログラムの配備を加速し、簡素化し、かつ支援することができる」「重要なビジネス関係者および消費部門から全体的な取り組みにおける自分たちの責任についての賛同が得られなければ、データから得られる洞察はビックデータ・プログラムの配備後長い期間使われないままになるかもしれない」~『ビックデータの理解と監査』「定められた役割と責任」より引用~

日本企業においては、まだまだIT、情報部門に関する人員が足りていないケースもあり、人員不足から複数の担当を掛け持ちしているケースが多く見られます。

システムから生成される情報をすべて保管・管理することは、予算・人員の関係から現実的ではありません。一方、ビックデータの解析においては、分析にあたり必要な情報が漏れなく、容易に利用できることが前提となるため、将来の解析において必要となるかもしれない情報をシステムが稼働する前にあらかじめ予測して保管・管理できるように設定することが重要となります。

理想では全ての情報が保管・管理されていることが理想ですが、現実的には、予算のしばりがあり保管・管理の取捨選択が求められるます。

まだ日本では、なじみのない最高データ責任者(CDO)には、将来のビックデータの解析に必要となる情報を見極めるセンスが求められます。

また、ビックデータの保管・管理には、マーケティング部門のみならず、セキュリティ、法務部門などのアドバイス面での協力が不可欠になる点にも留意が必要です。


「プログラムの設計段階で定めた成功の判定基準は、合意した性能の指標により追跡されるべきものである」「経営陣に対し、企業全体におけるビックデータ・ソリューションのコスト、採用のレベル、可用性および利用に関する洞察を提供するべきである。」「リスクはしばしば、指標がビジネス・ケースに合わせて明確かつ完全に設計されていないときに発生する」~『ビックデータの理解と監査』「性能の指標」より引用~

システム開発の現場でもよくあることですが、システム開発費用ばかりに目がとられ、開発後の保守費用の検討が足らずに毎年のシステム維持費用が膨大になっているケースがあります。

特に、設計段階での成功の判定基準を真剣に議論されているケースはまだ少ないと言えます。

ビックデータは、システムから生成されるものが多く、その性質上、毎年、保管されるデータ量は加速度的に増加します。一方、ビックデータの保管・管理に与えられる予算は、必ずしも保管されるデータ量と比例的に増加するとは限りません。

そのため、判定基準や指標そのものを、毎年、見直しをかけなければ、経営資源とビックデータの解析から得られる効果のバランスがとれないことになります。


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公認会計士(CPA)・公認内部監査人(CIA)・公認情報システム監査人(CISA)・公認不正検査士(CFE)・税理士

代表 小田陽一
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