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製薬企業における内部統制上で重要なプロセスは、①製造・在庫プロセス、②販売プロセス、③研究開発プロセスになります。
そのうちの①製造・在庫プロセスに重要な影響を与える「GMP基準」のうち文書化についての規定である「バリデーション」の概要についてご説明いたします。
「GMP基準」とは、医薬品の製造をする者が守るべき内容を定めたもので「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成十六年厚生労働省令第百七十九号)のことをいいます。
「バリデーション」とは、製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法(以下「製造手順等」という。)が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることをいいます(2条5項)。
製造業者等は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない(13条)。
一 次に掲げる場合においてバリデーションを行うこと。
イ 当該製造所において新たに医薬品の製造を開始する場合
ロ 製造手順等に製品の品質に大きな影響を及ぼす変更がある場合
ハ その他製品の製造管理及び品質管理を適切に行うために必要と認められる場合
二 バリデーションの計画及び結果を品質部門に対して文書により報告すること。
2 製造業者等は、前項第一号のバリデーションの結果に基づき、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管しなければならない。
「バリデーション」は、製造設備や製造方法が、均質な医薬品を製造するのに最適な条件であることを科学的に保証すること。
科学的に保証し各種監査に耐えられるための文書化が「バリデーション」される目的となります。
「GMP基準」では、原材料・製品の温度湿度管理、製造指図、設備の清掃・保守・洗浄など実に様々な情報が記録されます。
金融商品取引法における内部統制報告制度(いわゆるJ-SOX)は、財務報告の信頼性を確保するための内部統制を評価及び報告の対象としています。
もちろん、金融商品取引法における内部統制報告制度には、財務報告以外の目的も併せて達成されるように業務に組み込まれている内部統制も含まれますが、「GMP基準」で「バリデーション」が要求されている情報とは、そもそも文書化・保管される目的が異なります。
内部統制の文書化にあたっては、「GMP基準」で「バリデーション」が要求されている情報が、財務報告の信頼性どのように関係するのかの判断が重要となります。