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2017年12月6日 企業会計基準委員会より公開草案として「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)が公表されました。
仮想通貨については、そもそも法律上の位置づけがあいまいで、会計学的にも非常位置づけが難しいものになります。
仮想通貨は、無形固定資産ですか?棚卸資産ですか?金融資産ですか?という議論を聞かれることがあります。
公開草案が公開される前でしたが、貸借対象表に記載される科目(無形固定資産、棚卸資産、金融資産)の問題は、オーナー(利用者)の所有目的によるのではないでしょうかと答えていたことがあります。
例えば、クラッシックカーをオークションサイトから購入したと企業があるとします。
クラッシックカーなので一般的には、鑑賞用やコレクションとしての意味合いが強く美術品として取り扱うのが通常だと思います。
美術品なので減価償却費は計上しないのが一般的で、投資その他の資産に計上されることになります(税務上の取扱:取得価額が1点100万円以上である美術品等は原則、非減価償却資産ですが、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」は、その取得価額が100万円以上であっても減価償却資産と取り扱うこととされています)。
あまりないと思いますがクラシックカーを営業マンの使う営業車として使うとなると、減価償却費を計上のうえ有形固定資産として計上すると思います。
何が言いたいかというと、要は買った人の保有目的によって貸借対象表の計上区分が変わる資産もあり、仮想通貨も同様に保有目的別の計上方法の検討が必要となるということになります。
仮想通貨は、会計学(財務諸表論)としては興味深い論点を多く有しています。
・仮想通貨の範囲は?
・資産なのか?
・既存の会計基準との整合性は?
・時価とは?
・時価をとれるのか?
・時価をとる市場は?…
監査をする立場としては、ブロックチェーン技術が前提となり、高いIT知識・監査のスキルがもとめられ、顧客の財産に直結することから監査リスクは高い分野になります。
公開草案に記載されている「結論の背景」は公開草案が作成される過程で議論された論点が記載されています。本質をつかむためには「結論の背景」をしっかり読むことの大切さを感じます。
昨今、ITを中心とした技術の進展によって、従来の会計基準が対応できていない部分や実務慣行が確立していない分野が広がってきています。
改めて、会計学の基礎にたちかえってビジネスの本質を見ることの切に感じます。