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会計上の補助金の分類
補助金には大きく分けて、①資産に関する補助金と②収益に関する補助金の2つに分かれます。
IAS第20号「政府補助金の会計処理及び政府援助の開示」において下記のように定義しています。
「資産に関する補助金」とは、補助金を受ける資格を有する企業が固定資産を購入し、建設し、又はその他の方法 で取得しなければならないことを主要な条件とする政府補肋金のことをいいます。
「収益に関する補助金」とは、資産に関する補助金以外の政府補助金のことをいいます。
「資産に関する補助金」
IAS第20号においては、「資産に関する政府補助金」の処理について
①公正価値により測定される非貨幣性資産による補助金を含めて、繰延収益として 補助金を計上する方法(繰延収益)
②補助金額を控除して資産の帳簿価額を算定する方法(直接減額)
2つの方法を示しています。
他方日本基準においては、税法の圧縮記帳の会計処理に影響を受けます。
IAS第20号でいう(直接減額)は、日本でも同様に圧縮記帳(直接減額)の方法として存在します。
一方でIAS第20号でいう(繰延収益)は、日本では、負債として計上するのではなく、圧縮記帳(積立金方式)として処理されます。GAAP差となるため、IFRSに組み替える際には注意が必要です。
積立金方式とは、確定決算または決算確定の日までに剰余金の処分により圧縮積立金を積み立てる方法のことをいいます。
「収益に関する補助金」
IAS第20号においては、「収益に関する政府補助金」の処理について
①別個に、又 は「その他の収益」のような一般的な科目名で、包括利益計算書の貸方項目として表示する方法(独立表記)
②関連費用から当該補助金を控除して報告する方法(関連費用減額)
2つの方法を認めています。
残念ながら、日本基準では、補助金に関する統一的な処理基準がないため、業界ごとの実務慣行、契約書に基づく実質判断によって処理されているのが実情ですが、契約によっては、IAS第20号で示されている2つの考え方をそれぞれあてはめることは可能です。
ただ、(関連費用減額)は、総額主義の原則に反するため、補助金と費用との強い関連性が必要になり慎重な判断がもとめられます。