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1.発注側(ユーザ)から見たシステム開発契約形態別のメリット・デメリット
発注側(ユーザ)から見たシステム開発契約形態別のメリット・デメリットを解説いたします。
従来ではよく、開発に関する予算管理が容易なため一括「請負」の形態が多くもちいられてきました。一方で一括「請負」には、契約書を締結する段階である程度、システムの設計の基本となる「仕様」が確定していなければなれないもちいることができないというデメリットがあります。
最近では、「仕様」の変更が柔軟に対応することができるように、「準委任」ないし「多段階契約」が用いられるようになりました。
「準委任」契約は、開発を受託する側(ベンダ)も一括「請負」に比べて資金を早期に回収できるため「アジャイル開発」でもよくもちいられるようになってきています。
2.システム開発で用いられる主な契約形態
システム開発で用いられる主な契約形態は主に「請負」と「準委任」の2種類になります。
「請負」は、ソフトウェアの開発に関してベンダに完成義務があり、完成しなければ報酬請求権が発生しせず、また瑕疵担保責任(民法634、635条)もベンダが負うところに特徴があります。
対して「準委任」は、ベンダはソフトウェアが完成していなくても報酬を請求でき、瑕疵担保責任についても負わない点に特徴があります。
最近では、ユーザ側の開発に関するリスクを最小化にしたいとの意向で、開発の設計段階については「準委任」で締結し、開発工程を「請負」で契約するケースもみうけられます。
3.「請負」「準委任」「多段階契約」のメリット・デメリット
ユーザにとって「請負」の形態で契約することの最大のメリットは、開発費用の上限をもうけることができ予算管理が容易な点にああります。ベンダにとっては、完成義務や瑕疵担保責任を負うためかなり負担の重い契約で、過去に経験したことない種類の開発であったり、ユーザの要望(仕様)がたびたび変更される環境ではユーザ側の負担が重い契約になります。
また「請負」については、一度の契約事務で完了しますし、また歴史的な蓄積がある契約形態のためリスクの管理が行いやすいというメリットがあります。
一方で「請負」については、「契約書」を締結する段階である程度「仕様」が固まっていなければならず、IT環境が急速に変化する環境下では、「仕様」変更が柔軟に対応できないというデメリットがあります。また、SE単価の上昇が続いており、ベンダ側としても柔軟性を確保できる「準委任」を好む傾向にあります。
「準委任」については、ユーザにとっては、「仕様」変更について柔軟に対応してもらえる点に最大のメリットがあります。ただ、「準委任」の契約においては、「1人月○○万円」という契約形態がとられるケースが多く、成果物に対する期限が設定されていなかった場合には、期限前になるべく早く仕上げようとのインセンティブ(生産性向上)をベンダが持ちにくいことになります。
「多段階契約」については、開発フェーズごとに「請負」「準委任」を選択できるところに最大のメリットがあります。システム開発で重要なのは、開発フェーズの進捗管理になります。開発フェーズが完了していることを確認することは、ベンダとの程よい緊張状態を保つうえでも重要となります。ただし、一括で「請負」契約をしているのに比べて、事務手続が煩雑になることや、「開発」段階を「準委任」とした場合には、「準委任」が本質的に抱える生産性向上のインセンティブに関する問題が顕在化し結果的には、開発予算が大幅に超過してしまうケースも想定されます。